Case Study 2_コベルコ科研

株式会社コベルコ科研は1979年に神戸製鋼所より、分析・試験業務を分離、総合試験研究会社として発足しました。 事業には低炭素社会のキーとなる蓄電池の研究開発/利用を革新的に進めていくお客さまに対して、 最先端で多様な評価/試験/解析技術として、電池試作・特性評価、反応・劣化解析、計算科学、安全性試験を提供するソリューションがあります。また近年、株式会社コベルコ科研ではMBD(Model-based design)に取り組んでいます。特に対象ハードウェア以外のパーツ動作を1D(One-dimensional)モデルのリアルタイムシュミレーションで模擬し、全体の紐付け時に正しく動作するか試験する方法であるHILS(Hardware in the loop simulation)を活用した試験メニューの開発を行っています。今回Speedgoat社のリアルタイムターゲットマシンを活用し、バッテリーの熱マネジメントシステムのHILSを実験しました。
技術本部
EV・電池プロジェクト室
木原 大城様
技術本部
計算科学センター
山中 拓己様
目的・背景
従来のガソリンエンジン車では、二酸化炭素等の温室効果ガス排出が問題視されてきました。その為、近年ではカーボンニュートラルや脱炭素化社会に向けてEV(Electric vehicle)の開発が進んでいます。EVの動力源として多く採用されているリチウムイオン電池 LIB(Li-ion battery)は、他の電池に対して高エネルギー密度、高出力密度、高寿命、自己放電が少ないという特徴があります。EV開発において、LIBの出力、安全性、寿命の各特性には温度による影響が大きい事から、熱マネジメントシステムによる適正な温度制御が重要となっています。近年、制御システムは複雑化する傾向にあり、物理現象を考慮した数値解析モデルの適用が進められています。数値解析モデルとしては有限要素法FEM(Finite element method)等の連続体モデルもありますが、リアルタイムにおける応答といくつかのパーツの連成現象を取り扱うことが必要であることから、1Dモデルが活用されています。ここでの1Dモデルとは、各要素が等価回路で接続されたモデルであり、1次元の連続体モデルを指していません。この1Dモデルを用いたMBD設計手法が自動車開発に有用であることが示され、近年において特に注目を集めています。動作検証したいパーツと、それ以外の1Dモデルを接続し動作試験を行うHILSに着目し、当社でもこれを活用した試験メニューの開発に取り組んでいます。今回研究・開発の為MATLAB®/Simulink®にて1Dモデルを構築し試作した以下仕様のバッテリーパックを用いてバッテリーの熱マネジメントシステムのHILSを行う必要がありました。
・ラミネート型バッテリセルが2つ直列接続されている。
・作動電圧は6.0Vから8.4Vまである
・容量は3.0Ahである
ソリューション
EVを運用する際にはシステムとしてバッテリーに負荷を付与し、チラー(冷却水循環装置)を制御することでより効率的な運用が可能となるが、まずは検討段階としてバッテリーのファン冷却制御を行いました。本システムにはリアルタイムシュミレーションを実現するためのHILS用ターゲットマシン、EV全体を表現する1Dモデル、実際のEVと同じ負荷を掛けられる負荷装置が必要となります。HILS用ターゲットマシンとしてはMATLAB®/Simulink®と親和性の高いSpeedgoat社Performance real-time target machineを採用いたしました。EV全体の制御モデルについてはインバータ・モータ等の電力や車両速度をMATLAB®/Simulink® R2019a版を使いモデリングしました。システム構成図の通りに機器を接続し表面に熱電対を設置し、温度が運用に適している25~30℃の間に保つように、以下のような制御アルゴリズムをPerformance real-time target machineに実装し、ホストPC上のSimulink real-time™にてモニタリングやパラメータの調整を行いました。
1. 温度30℃以上の入力でファンのスイッチON
2. 1の処理後、温度25℃以下の入力でファンのスイッチOFF
3. 1・2の工程を続ける
結果・成果
上記実験を行った結果、表面温度は25℃から30℃の間に保たれており、バッテリー温度を一定の温度に保持できることを確認できました。またMATLAB®/Simulink®を用いての試験実績を得ることができました。今後については自動車用のバッテリーを用いての冷却試験を実施予定があります。電子制御が複雑化している自動車業界ではタイムリーな提案な為、将来的にはバッテリーに限らず、モータの負荷制御等への応用についても検討しています。
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